海外経験者の需要増!注目のゲーム業界の転職事情とは (ゲーム会社人事 松本裕美さんのインタビュー)
デキる人はどんな場所でも活躍できる
Q.急成長している業界だからこそ「即戦力」が重要視されているわけですが
ゲームやIT業界で求められている海外経験者の採用ポイントを詳しく教えていただけますか?
一般的には以下のポイントのある転職希望者の方を採用しています。
- 海外マーケットに対する高い分析力
- 各職種における深い経験と知見
- 古風な日系社内のカルチャーに対する適応力
この3つの能力と経験ですね。
Q.最後の社内カルチャーに対する適応力という項目ですが
具体的にはどのような社風や能力を指しているのでしょうか?
ビジネスではスキルも大切ですが「組織の中で調和できる人材かどうか」という点も非常に大切です。
会社は1人ではなくコミュニティで運営しているものなので
お局Aさんともうまくやらなければならないし
マネジメント能力が低い上司Bさんの下で自発的に動かなければならない時もあります。
「風通しが悪い」「トップダウンで決定される」「何事にも会議が必要」
などの日系企業の社風に抵抗のある海外経験者の方も多いですよね。
どんな社風があったとしても1人のビジネスパーソンとして
「自分が考案したものを組織的に行い結果を出す」
「結果が出ない場合には代案を出す」
このような行動ができる人はどんな職場でも活躍できる人材だと思っています。
採用の決め手は海外経験の「本気度」
Q.多くの海外経験者の履歴書を見てきたと思いますが
特にどの部分に注目していましたか?
学生であれば所属していた学校名、
社会人であれば経歴にある企業名を重視していました。
海外経験者の採用に経験が浅い会社だったため
まずは「学歴や経歴に信頼を置けるかどうか」という点に注目していました。
こんな風に話すと「結局は学歴と企業名で決めているの?」と思われてしまいそうですが、そうではありません。
会社が求めているのは「本気で海外で勉強し経験を積んだ人材」であって
遊び半分の留学者や現地で日本人としか交流がなかった積極性のない人材に需要はありません。
なので、「どれくらいの真剣度で勉強や仕事に取り組んでいたのか」ということを知る1つの判断基準として学歴や職歴を見ていました。
Q.学歴や経歴にはその人の考え方や行動指標が表れますよね。
履歴書のほかに面接ではどんな部分に注目していましたか?
まず書類では把握しきれない「語学力」があるかどうかを重視していました。
一部の海外経験者の中には
「日常会話はできるけれどビジネスの会話やメールのやりとりができない」という人がよくいます。
その点を見落としてしまい実際にトラブルになったこともあったので
語学力に関しては書類だけで判断しないようにしています。
人事担当者の目線でいえば、帰国後に英語のブラッシュアップや海外に関する情報をアップデートしてほしいと強く思います。
Q.語学力と知識のブラッシュアップとアップデート、多くの転職経験者が見落としている部分かもしれませんね。
最終的に採用の決め手になるのは何なのでしょうか?
採用の決め手になるのは「海外で何を学び経験したのか」という実績の部分ですね。
残念ながら「海外での経験や実績について」について伺っても
「海外経験を生かして日本で実績を上げたこと」を説明する人がとても多いと感じます。
海外での「ビジネスに関連した実績」を求める人事担当者と海外で「語学や現地の文化しか学んでいない」転職希望者の間にはどうしてもズレが生じてしまっているようです。
裏を返せば「英語と現地カルチャー」のほかに有用なスキルや経験があれば採用はすぐに決まると思います。
「海外の自由な文化が好きでその環境に適応力があります」というより
「マーケティングの研究をしながら現地企業で経験を積んでいました」といった方が良い印象は残りますよね。
Q.おっしゃる通りだと思います。
少し気になる部分なのですが、以前の職場の退職理由などは採用に影響しますか?
ゲーム業界ではあまり影響しないと思います。
ゲーム業界をはじめとしたIT業界は人の流動がかなり早く
任天堂などの大手でないかぎり、平均勤続年数は1〜3年が一般的です。
転職理由よりも
「とにかく高スキルで即戦力になる人を第一に採用する」
という考え方が採用に根付いていると思います。
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→ 急成長するゲーム業界に置いていかれるな!いま転職経験者がやっておくべきこと