自分の強みを武器に8回の転職。海外赴任の夢を叶えるため、異業種を渡り歩いて築き上げてきたキャリア(飯田さんのストーリー)
飯田宜憲さん
高校卒業後にイギリスの大学に留学。帰国後に新卒入社したIT系企業では広報IRを担当し、株主や機関投資家を相手にやり取りを行う。国内証券会社に転職し、さらに強みである英語と数字を活かして外資系の証券会社に転職。その後、業種にこだわらずに、自分の興味分野や経験・強みを活かし計8回の転職を経て、現在の教育系企業に至る。
留学経験者専門の転職エージェント『Beyond Border』の転職経験者インタビュー。
今回インタビューにご協力してくださったのは、留学からの帰国後、自身の強みと経験を活かし計8回もの転職でキャリアを積んできた飯田さん(以下、飯田さん)です。
飯田さんはイギリス留学から帰国後、新卒入社したIT系企業から現職に至るまで、計8回もの転職を経て、様々な業種でキャリアを築いて来られました。
やりたいことをやってきたと話す飯田さんですが、数多くの転職は、自身の成長を考え、「海外赴任の夢を叶える」ことと「自分の強みを活かす」という大きな軸を持っての選択の積み重ねのようです。
BeyondBorderの読者の中には、
「転職活動をしていると何が大事なのかわからなくなってくる」
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
そんな方にお届けしたいのが今回の飯田さんのストーリーです。飯田さんの経験から、
・留学時代に得たもの
・自分の強みを活かした転職の仕方
・転職活動の際に重要視すべきこと
についてご紹介します!
目次
留学生活で得た「自ら動いてやり抜く力」
Q.飯田さん本日は宜しくお願い致します。
宜しくお願いします!
Q.飯田さんはイギリスの大学で社会心理学を専攻されていたとのことですが、大学で学んだことで、社会人になってから役立っていることはありますか?
正直、勉強では残念ながらないですね。
強いて言えば、人の心の中に入っていく術は身に付いたと思いますね。海外でもコミュニティにグループというのは存在して、そこにスッと入っていかないと孤立してしまって、情報が入ってこなくなってしまいますから。異国の地で情報が得られないとアウトですからね。
相手に受け入れてもらう方法というのは人それぞれですが、僕が海外の人と仕事をするときは、相手の言語で挨拶をしてみたり、自己紹介のときにちょっと笑いを入れてみたりします。例えば、「ヨシって呼んでくれ。分からなかったらスシでもいいよ。」なんて言うと、「ああ、寿司知ってる!この前食べてさ~」と相手も乗ってきたりして、ちょっと距離が縮まるんですよね。
あとは、全く知らないところに転職をしても、ふっと馴染みやすいというところにも活きている気がします。
Q.自分から取りにいかないと入ってこないですからね。それ以外に、留学中に苦労したことで、今に生きているなと思うことはありますか?
大学最後の年に寮に入る予定だったはずが、新入生を優先的に入寮させないといけないという理由で、急に家無し子みたいになってしまったんです。大学のミスだったので一定期間は宿代を出してくれるものの、海外で家が無いっていう状況に直面して相当焦りましたね。学校には行かないといけないし、安い部屋はどんどん埋まっていくし、通学費用はどうなるのかとか、シェアハウスに入るには友達を探さなければ、とか。結果的には一か月後になんとか部屋を借りられたんですけど、そういうときにも諦めずにやり遂げる、というところは生きているなと思います。
例えば、上場の廃止を進めるプロジェクトがあって。上場をするときの文献はたくさん出ているのに、廃止するときの情報は分厚い本に2ページしかないくらい、本当に少ないんです。それでも色んな手法で情報を取りに行ったりして諦めずに遂行できたのは、そういった経験ができたからこそだと思いますね。
Q.異国に来て予期せぬ状態に置かれると、なんとかしなくてはと必死になりますよね。
もう本当にそうでした。じっとしていても好転はしないだろうし、とりあえず動いて自分たちで部屋を確保して、後のことはそこから考えようと。実際に部屋を見つけたあとに、大学が色々と保証をしてくれるらしいと聞きつけて文句を言いに行ったり、その時にわざとボロボロの服を着て「父が亡くなって生活が厳しくなってどうしよう」と演技したりして。その方法が良いか悪いかは置いておいて、とにかく必死でした。
Q.留学をすると、そういうことを学生のうちに経験して大人になっていくんですよね。
基本的に「なんとかなる」という考え方になりますよね。「どうしよう」と考えがちな妻と比べても全然違います。
あとは、僕が関西人だからかもしれませんが、他の友達と比べても、我ながら商魂たくましいなと思いますね。
2回目の転職で海外赴任を目指し、外資系へ
Q.帰国されて、現在までに転職を計8回されているんですね。新卒で入社した会社では、どのようなお仕事をされていたのですか?
IT系の会社で、広報として働いていました。アメリカと日本の両方で上場していたので、アメリカに対する開示文章の作成や株主・機関投資家の問合せ対応などがメインで、英語を使うこともありました。
Q.2社目以降のキャリアについて、教えてください。
2社目は日系の、3社目は外資の証券会社に行きました。初めての転職活動当初は、若いうちに色々な仕事が覚えられそうという理由で、ベンチャー企業で探していたんです。そしたらある会社の役員面接で、ほとんどの役員が金融系出身なことに気付いて。そんなに金融はすごいのかと、自分も腕試ししてみようという時にお話をいただいたのが2社目の会社でした。
Q3.2社目の選考で、なぜIT系から金融系なのか、聞かれませんでしたか?
聞かれましたが、本心とは違う理由を話したと思います。1社目で広報IRをしていて、機関投資家で株って面白いなと思ったので受けてみました、といった感じでした。
転職活動で聞かれることって、表現はそれぞれですが、「君は何が出来て」「何がしたくて」「将来どうなりたいのか」の3つなんですよね。それらをぶらさずに答え続けられたら、ちゃんと考えている子だと判断されて受かるのかな、と思いますよ。
Q.さすが慣れていらっしゃいますね。2社目から3社目で、国内から外資へ転職されたのはどういった理由ですか?
留学していたときに、将来こんな風に働きたいな、というイメージが2つありまして。
1つ目は「外資系に勤めたい」というもので、なんとなく外資はかっこいいという憧れがありました。実際は日系よりドロドロした社内政治があったりしましたが…
2つ目は、「海外の駐在員として働きたい」というもので、大学にイギリス育ちの日本人がいて、家族の結束が強くて、すごくいいなと思ったんです。日本からいきなり海外で暮らすようになったら頼れるのは家族しかいないから、より結束が深まると聞いて。
Q.きっかけは何だったのでしょうか?
2社目で働いて3年経ったとき、早期退職の募集に手を挙げたんです。英語を使った仕事や金融での経験から、外資系の証券にしぼった場合に可能性のある求人をエージェントに聞いたらたくさん出てきて、これならいけると確信した上で転職に踏み切りました。
やりたいと思ったことは業種にこだわらず、経験を活かす
Q.3社目以降はどのような転職をされたのですか?
業種などに縛られないようなキャリアを積みたいと思って、数字やExcelを扱っていたとか、規定作りやプロジェクトをやったとか、マネージメントをしていたといった、経験を売りにして転職をしてきました。
4社目で美容系という全くの異業種に転職したのも、上場を頑張ろうとしていた事業会社だったので、経験を活かして内部整理や資本関係の規定作成などをするためでした。9社目になる今の会社も、将来的には上場をしたいから手伝ってほしいと社長に言われたのがきっかけでしたね。
Q.ご自身のやりたいことを明確に持っていらっしゃるんですね。
どうですかね。自分がやったことないことに興味を持ちやすくて、ただ単に、面白そう・やってみたい、と思ってやっている感じです。その代り飽きやすいタイプみたいで、やりたいと思ったマニュアル作りもある程度作ってしまうと、その後の整備などは他の人にやってもらおうと周りにスルーしたりしています。
この転職で自分は「何を叶えたいのか」立ち止まって考える
Q.これまで転職を重ねて来られて、家族からの反対などはありませんでしたか?
妻とは、お給料が下がる転職はNG、という考えが一致しているので、基本的には反対されませんね。
なので転職は事後報告だったのですが、3回目の転職で上手くいかなかったときに、「次に行く時は相談して」と言われて相談した結果、次に中途入社した会社で首切りに遭ってしまうというハプニングもありました。今となっては笑い話ですけどね。
回数は重ねていますが、毎回、「この転職で何を叶えたいのか」を考えるようにしています。やはり転職活動は負担になるので内定が出ると飛びつきたくなりますが、それで失敗もしてきているので、必ず立ち止まって考えるようになりました。
Q.飯田さんが「転職で叶えたいこと」とは、どのようなことでしょうか?
一番大きいのは、「海外赴任ができるか」、あとは自分の武器である「英語が使えるか」、「数字を扱えるか」の3つです。自分の願望と強みをやりたいこととして伝えると、採用側にやる気が伝わるのではないかと。
ただ、一番の願望である海外赴任が未経験なので、どうにかして叶えたいのですが。
Q.希望している海外赴任ができないことが転職の理由になることもあったりしますか?
行きたかったという思いはありますが、転職理由にはなっていませんね。転職を考えるのは、「ここにこのままいて、同じ仕事をしていて自分は伸びるのだろうか」と疑問に思ったときです。
Q.入社する会社を決める際には、どんなところを注視されていますか?
内定をいただいた時点で社内を実際に見させてもらっています。まず伸びている会社は活気があって、社員も元気なんですよね。逆に、シーンとしていて疲れた表情の社員が多い会社は危険だなと判断しています。
あと、ランチにちゃんと行けるかどうかもチェックしています。3社目ではずっとランチにすら行けないほど忙しくて、本当にきつかったので。メリハリをつけて働ける環境か、というのも重要な判断基準ですね。
Q.では最後に、転職を考えている海外経験者にアドバイスをお願いします。
転職をするとき、いかにいいエージェント・担当者と出会えるかが実は結構大事です。僕の例で言うと、英語を使うという希望もあって、外資系のエージェントを利用したこともあるのですが、日本人からするとサポート体制が荒くて、レジュメの正しい書き方やアピール方法の指導もなく、苦労しました。
転職は人生の岐路ですから、テクニックはもちろん、自分の人生を親身になって考えてくれる担当者と出会って、納得できる選択をしていってほしいなと思います。